2014年11月9日日曜日

<書評> 希望ある一年を鮮やかに力強く             日本の米カレンダー2015年版(著者・富山和子)に寄せて 

  完成まで1年かかります。写真の選定、現地取材、写真に添える原稿の作成、翻訳の依頼等々。26年続く作業です。
 
 この原動力について著者は「怒り」といいます。農業の衰退や国土の荒廃に対してです。問われているのは大企業本位や米国追随の政治の責任等ではないでしょうか。
  
 本カレンダー(写真)で選定される写真は、何度も見たくなる日本の自然、農村の豊かな景観です。 なかでも目が釘づけになるのは、途切れることなく受け継がれる、その地域独特の農業文化の美しさ。

 2015年版でいえば、熊本県阿蘇地域の春の伝統の野焼きや同県八代市の波打つい草の刈り取り風景です。そして緑と茶の市松模様のコントラストが浮かびあがる「サトウキビの島」=沖縄県伊江島。島の3割以上が米軍基地で占められるなか、島民は水不足とたたかい農地を耕し続けてきたという著者の一文にも接します。

  時流に屈することなく、希望ある現実を鮮やかに、力強く押し出す写真と文。これらから私たちが1年を通して受け取るのは、感動、やすらぎであり、現状打開の意義です。
 
問い合わせ先 国際カレンダー株式会社 TEL03(3252)8531、FAX03(3252)8533 
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