2018年12月31日月曜日

公共での表現を広げたい

 公共の場での市民の表現を守るうえで、貴重な一歩だった。
「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ俳句がさいたま市の公民館だよりに不掲載となった問題。同市はこのほど、作者への賠償を命じる判決が確定したことを受け、俳句掲載の意向を示した。

  市側の掲載拒否の理由は、「公民館は政治的に公平中立であるべき」であった。地域住民の生活や文化を豊かにする場である公民館で、求められる政治的中立性とはなにか。
 志田陽子・武蔵野美術大教授は、「市民がさまざまな問題意識を持ち寄れる純粋な受け皿であること」(「東京」26日付)と指摘する。9条を守ろう、あるいは逆に改定しようとの立場の人がいて、民主主義上、当然なのだ。今回のように9条を守ろうとする立場を排除することこそ、統制的である。

  また、公民館だよりに掲載する俳句には作者の名が記される。公民館が俳句と同じ立場にあるとは考えがたい。さいたま地裁が掲載について、「公民館の中立性や公平性を害するとは言えない」(2017年10月13日)と判断したことは当然だった。
  そもそも9条は日本国憲法の条文だ。義務教育である小学6年の社会科教科書にもその全文が紹介されている。守る立場を行政が侵害することこそ不公正そのものであろう。

 近年、公共の場から市民の政治的な表現が排除される例が各地で続いていたが、ことしはそれに待ったをかけた市民が権利行使を前に進めている。
 神奈川県海老名市は2016年に駅自由通路での「アベ政治を許さない」などの宣伝活動を禁じる命令を出した。が、市民のたたかいの前に翌17年、横浜地裁から取り消され、ことし6月には条例も改定せざるを得なかった。この結果、駅前での市民の宣伝活動の自由は広がり、若者らの路上ライブも活発化している。
 表現の自由は生活や文化を、また、町の光景も豊かなものに変える。この確信をより多くの人に伝えていきたい。

2018年12月29日土曜日

奥深い米文化の継承を

  日本の米カレンダー2019年版をいただきました。
 
 ことしのカレンダーも力作です。1月の「備前焼」(写真)は初め、風景写真と違うため、「エッ、これも」と思いましたが、陶土に田んぼの地下の粘土が使われているとのこと。制作者の富山和子さんは、「日本の米は人々の糧だけでなく、茶の湯文化も支えてきた」と記しています。   

 米カレンダーを通して私は、日本各地の米づくりの奥深さ、とくにそれぞれの地で歴史的に醸成されている米文化の個性的な豊かさを再発見し、また新たに知ることができました。地方の風景・景観の鮮やかな美しさにも感嘆の声をあげてきました。

 ことしの作品で制作は最後とのこと。残念でなりません。創刊以来30年、積み重ねられてきた貴重な写真と添えられた文をより広く知らせるために、出版物等の発行を願うばかりです。

2018年12月15日土曜日

太陽の復活


早朝の田んぼ。霜が降り、一面白く見えました。あぜ道を歩くと、キュキュとの音。地中の水分が地表にしみ出し、霜ばしら状に凍結したのでしょうか。
本格的な冬の到来です。

でも暦的には7日後の22日は冬至。昼間の時間がもっとも短くなります。
いま、当地の日の出は6時43分、日の入りは16時30分ですが、徐々に太陽の出る時間が長くなります。
  一陽来復。太陽の復活を祝い日も近いと思うと、気持ちも明るくなるようです。

2018年12月7日金曜日

自分の力を信じて

 「できないよー」
  学習支援教室で小学2年のKさんがそばに来て、つぶやきました。
  白と黒のマルを直線で結ぶ「しろくろつなぎ」(写真)。集中力や見通す力につながるという知育ゲームの一つです。
 Kさんは自分から熱心に取り組み、10数回達成しています。
  困難に突き当たった問題の難易度はそれまでのと大差はありません。
 「何回もやり遂げてきたよね。自分の力を信じて、もう一度考えてみない?」
 程なくして、「できたー」との声が聞こえ、笑顔も。
 また小さな山を乗り越えたようです。