2018年6月30日土曜日

ビッグバンドとともに

  近隣のアマチュアビッグバンドによる「ジャズの楽しみ方」。開演30分前には会場の公民館が220人の参加者でいっぱいに。ほとんどが高齢者です。主催は生涯学習ボランティア研究会。
 当日の演奏曲は、プレスリー「この胸のときめきを」、映画音楽「ロシアより愛を込めて」、クラシック「ラバースコンチェルト」など。ときには重厚さを、ときには涼やかさを生み出すサウンドに、満場が一体化します。じっと聴いていると、重なる音、補う音も分かります。
 開放感にしたるなかで、生き方を考えるのもいいものでした。

2018年6月29日金曜日

前川喜平さんと夜間中学

 神奈川県厚木市の夜間中学「えんぴつの会」(岩井富喜子代表)の教室は、古くからの商店街の一角にありました。ドアの横に一枚の紙が貼ってあるだけなので、最初は通り過ぎてしまいました。 
 同教室は生徒それぞれが数学や英語、国語などの教材を持ち寄り、スタッフから支援を受ける一対一方式で運営されています。前文科省事務次官の前川喜平さんもスタッフの一人です。

 前川さんは教室に着くなり、持参したパンとペットボトルのお茶を取り出しました。スタッフの控室はなく、教室の空いている席で食べ始めました。
  この日の氏の担当は、日本国憲法全文の冊子を用意した渡部フサ子さん(83)の学習(写真)。向き合いながら憲法の一条一条をゆっくり読み上げ、説明を続けます。説明用に使う紙は自分のカバンから取り出し、筆記具は百円ショップで売られているようなボールペンでした。
  憲法41条の「国会は、国権の最高機関」については、「なぜかというと、国会議員を主権者である国民が選んでいるからです」と詳述。国会議員は国庫から相当額の歳費を受けると記す49条については、歳費や立法事務費が議員一人に年間2000万円以上払われていると紹介しつつ、「企業・団体献金は禁止しないといけないですね。大企業が特定の政党に献金し、法人税を下げてもらうという大企業に有利な政治が起こるから」と付言しました。

 憲法の勉強は途中休憩をはさみ、1時間余続きました。「私にあわせて話をしてくれたので、わかりやすかった」と、前川さんに謝意を示した渡部さん。1945年8月1日の富山空襲で自宅が焼失し、小学校に満足に通うことができませんでした。その「学ぶ機会が欲しい」との渇望の声は、厚木での夜間中学開設のきっかけになりました。
 前川さんは、菅義偉官房長官から「地位に恋々としがみついていた」と、保身に走っていたかのように非難されたことがあります。学ぶ機会を十分得られなかった人を手弁当でサポートする人物が「地位に恋々としがみつく」?。眼前にあるのは、真夏日が続くなかも学ぶ意慾を持つ人びとのもとに足を運び、温かいまなざしを注ぐ姿です。
 加計学園問題で「総理のご意向」などと書かれた文書の存在を証言し、行政の公平性がゆがめられたことを示した前川さん。その勇気と見識は人間的な優しさと一体だと、改めて思いました。

2018年6月19日火曜日

ロウソク出せ

 田舎(北海道)の七夕の日は夕食後、浴衣を着た子どもたちが提灯を持って集まります。提灯は缶と釘による手作りのものでした。地域の家を一軒一軒回り、玄関の前で大きな声で歌を歌います。
 「ロウソク出せ 出せよ 出さないと かっちゃくぞ おまけに食いつくぞ」
 恐ろしい歌なのに、家の方は子どもたちが玄関前で歌うと出てきて、ニコニコしながら一人ひとりにロウソクを渡してくれます。子どもらは町内を一通り回り終えると、もらったロウソクを数えるのが楽しみでした。
 地域の大人の子どもたちへの愛情が感じられる懐かしい風習のひとこまです。
 今では町内会の行事として実施されている地域があるようです。形は変わっても地域のつながりとして根づいているようで、うれしく思います。

2018年6月12日火曜日

じこべすと

  「きょう、ぼく、百マスやるよ」。小学3年生のKくんが学習支援教室に来るなり、言いました。九九を百のマスにタイムも計って埋める学習です。

  九九は2年生の学習。3年生では初めて習うわり算に九九を使います。九九をマスターしきれていないKくんは、ゲーム性もある百マス計算で覚えようとしていますが、8の段が苦手。繰り返し練習していたら、あるときグッと伸びるよと、アドバイスしていました。

  「8の段、お風呂に入ったとき、練習した?」
  「うん、やってみたよ」
  「じゃ、口で言ってみて」
  これまでに比べると断然滑らかに答が出てきました。

  12回目の百マス計算に取り組んだKくん。8の段も無難にこなし、速さで自己ベストを更新しました。
  「やったね」
  「うん」
  Kくんは用紙の上に「じこべすと」と記し、満面の笑みを浮かべました。

2018年6月10日日曜日

あきらめるまで続ける

  ことし初の真夏日となった9日、安倍九条改憲反対3000万人署名の駅前行動(写真)に参加しました。
 昨年から数えて20回目の署名行動。参加者には新しい顔ぶれも見られます。
 安倍政権は北朝鮮の核・ミサイル開発を九条改憲の口実にしてきましたが、12日には史上初の米朝首脳会談が開かれます。平和の大激動が生まれるなか、九条改憲の論拠が土台から崩れつつあります。「憲法九条を守り、生かす署名です」との訴えに力が入ります。
 最初の署名者は40代と思われる男性でした。ペンを走らせながら、「早く安倍政権をやめさせて、憲法九条を変えるなんてバカなことはなくしたい」。安倍政治への怒りが伝わってきます。
 続いて女性が署名板に。「平和だけは守らなければね。私、クリスチャンなんですよ」。胸の十字架のペンダントを示しつつ、飴の小袋を差し入れてくれました。
 行動終了時、仲間の弁士が額に汗を浮かべながらマイクで訴えました。
 「改憲勢力があきらめるまで、私たちは署名を集め続けます」
 いまこそ粘り抜くときです。署名は66筆を数えました。