2020年4月30日木曜日

学校に行きたい


コロナ禍による休校が続くなか、近所で外に出て遊ぶ子どもの姿がよく見られます。
縄跳びやスケートボードに興じつつ歓声を上げる子ども。塾通いなどが広がる前はよく見られた光景です。

そのなかに、以前、登校前にボール蹴りをよくしていた子どもがいました。
「大きくなったね」
「うん」
「何年生になったの」
「中二。いや中三」
学期末から学期始めへと長引く休校の中で、とっさにいまの学年を聞かれると、進級したことが自分のなかではっきりしていないようです。

中3の子の妹(小6)もスケボーに乗りつつやってきました。
「スケボー、上手だね」
「ありがとうございます」
「学校、休みになって長いね」
「うん、学校に行きたい」 
朝の集団登校のさい、憂鬱そうな顔をしていた子の発言でした。

年単位で続くと指摘されるコロナ感染症。政府や行政、大人には、安全を前提にしつつ、子どもの学ぶ権利(憲法26条)をどう保障するか、知恵と努力がいよいよ求められています。(写真=休校で閑散とする小学校の校庭)

2020年4月25日土曜日

寄り添って乗り越える


新型コロナウイルスの感染拡大で学校の休校が長びくなか、現場の先生は苦労を重ねています。高1の英語を担当するM先生もその一人。このほどオンライン授業でノートづくりを取り上げました。

整理された画像を使いつつ、ノートを見開きで使うこと、予習と授業での発見の記し方、鉛筆と色ペンの区別した使い方などについて一つひとつ説明。ノートを見やすくつくることは、「後で振り返りをしやすいので」と、その理由も明かしました。
説得力ある語りかけに、新一年生は勉強への意欲や先生への信頼感を高めたことでしょう。ノートは完成時、かけがえのない一冊の本になるのではとも思いました。

オンライン授業を見て、もう一つ感じたことがあります。現場の先生は歴史的な困難と格闘しているのに、政府は今回、「すべて国民はひとしく教育を受ける権利を有する」(憲法26条)に沿う実践をどれほど行っているのだろうか、ということです。
一般紙上でも、文科大臣からは突然学校に行けなくなった子どもたちへの語りかけがまったく伝わってこないとの指摘がありました。同感です。

2020年4月15日水曜日

前を向いて生きる


コロナ禍に追われる毎日のなかで、清々しさを覚えた。日本大学アメリカンフットボール部の宮川泰介選手が1日、日本社会人Xリーグの強豪・富士通フロンティアーズに加入したという。
悪質タックル問題で加害者となった同選手。当時、大学などの縛りに抗して事実を明らかにしたいと、一人で記者会見に臨んだ。無数のフラッシュを浴びながら語った言葉が胸にささった。

「監督、コーチ陣からのプレッシャーはあったにしろ、そのプレーに及ぶ前に、自分で正常な判断をするべき(だった)」「自分の意思を強く持つことが今後重要だと思いました」(2018年5月22日)

自分の意思を強く持つとは、個人の尊厳を守ることと通底する。組織等の権力者の不当な圧力に屈せず、憲法にも裏付けられる主権者的な生き方を選択したのだ。
その勇気と見識にエールを送ったが、今回の旅立ちも前を向いた生き方の結実であろう。応援し続けたい。

2020年4月1日水曜日

高徳ガンバレ!


「エッ」と驚きの声をあげました。
サッカーJ1ヴィッセル神戸のDF酒井高徳(さかい・ごうとく)選手(29)に、新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出たからです。

日本人の父親とドイツ人の母親との間に生まれた酒井。世界1の健全経営を誇るドイツのプロサッカーリーグ・ブンデスリーガでは、日本人選手で史上初めてチームキャプテンを務めました。対人守備に絶対的な安定感をみせるほか、強いフィジカル(身体能力)を生かして長い距離をアップダウンできます。
加えて特筆されるのは、ドイツの監督から「メンタリティーはピカイチ」と評されたように、たたかう姿勢を試合でも練習でも貫けることです。

イニエスタら世界的な名選手を擁しているのに、いったん守備等が崩れると、立て続けに得点を献上するひ弱さのあった神戸。このチームがことし1月の全日本選手権(天皇杯)でも2月のスーパーカップでも優勝しました。立役者の一人が昨夏、ドイツから加入した酒井であったことは衆目の一致するところでしょう。

病床からのコメントもプロ意識の高い酒井らしい内容でした。
「プロフェッショナルという精神を掲げる仕事をしていることを自覚し、人数の多い場所に行かない、消毒や手洗いをする等、気をつかって生活していたのですが、本当に申し訳ございません」
コロナに負けるな酒井!果敢なプレーとともに、声をあげ、手を振りつつチームを鼓舞する酒井。あの勇姿を私は一日も早く観たい。