2014年10月15日水曜日

集団的自衛権ではなく、9条の精神を広げるとき

  日本の安全保障政策の大転換を一段とすすめるもの――自衛隊と米軍の協力の指針(ガイドライン)再改定に向けた日米両政府による「中間報告」(10月8日)を一読しての感想です。安倍内閣の集団的自衛権行使容認の閣議決定(7月)を「適切に反映」することが明記されていたからです。

  集団的自衛権の議論で安倍晋三首相は、ペルシャ湾での機雷掃海への自衛隊派兵を「あり得る」と公言しています。しかし現行の日米安保条約は日米の共同行動について、日本の領土内でしか発動しないとされています。集団的自衛権の行使容認を反映した「ガイドライン」にもとづいて、日本の米軍支援を世界規模に広げることは、安保条約にさえ反しているのです。

  そもそも軍事力が国際問題を解決せず、矛盾を広げることは歴史の教訓です。べトナム戦争では米国は50万もの兵士をベトナムに投入しましたが、撤退を余儀なくされました。アフガニスタンやイラクの戦争でも米国は計6500人以上の兵士を失い、「戦争疲れ」が深刻です。

  これに対して日本国憲法の9条のもとで、自衛隊は外国人を殺した経験がないし、外国の武力で殺された経験もありません。これは戦後の先進国のなかでは日本だけです(後藤田正晴元官房長官、雑誌『世界』2005年8月号)。
 
  いま憲法9条はノーベル平和賞の有力候補にまでなりました。集団的自衛権や「ガイドライン」ではなく、9条の精神をいっそう広げてこそ、世界の平和に貢献します。