2021年10月4日月曜日

「MINAMATA」を観て

   


   映画「MINAMATA―ミナマター」を観ました。平日の11時30分開始の上映に、約50人の観客。「公害の原点」とされる水俣病を扱う“地味な”映画なのにと、少し驚きました。「朝日」3日付(写真)に、水俣病問題が今回の映画も含めて大きく紹介されたことも、影響しているのかもしれません。

 映画はドラマ仕立てですが、原因企業チッソの不正や腐敗ぶりを正面から取り上げています。なによりも、大企業の懐柔工作等に揺れながらも正義や勇気を不屈に貫く、写真家ユージン・スミス(191878、役ジョニー・デップ)をはじめとする市民の「生き方」が感動的でした。

 水俣病は患者が公式確認されてから65年を経過します。しかし、いまだ解決していません。感覚障害が確認されながら患者認定されない被害者は現在も約7万人。水俣病被害者救済法(2009年成立)は健康調査を速やかにおこなうことを政府に求めているのに、政府は調査の開始時期や範囲さえ示していないのです。

 政府と大企業の驚くべき不条理な姿勢。この現状が続くことはけっして許されない――今回の映画製作やそれを紹介したマスコミに、また映画観覧に足を運んだ市民にも、そのエネルギーを感じる日になりました。