2021年10月18日月曜日

平和への願いは巨大

                        

   首相の岸田文雄氏は自民党総裁選で、自衛隊明記等の改憲に意欲を示した。緊張が増す台湾情勢にも「安保法制に従って対応する」と公言。戦争の危険性を高める姿勢だ。

 憲法9条への自衛隊明記は、海外での武力行使の歯止めとなってきた同2項の戦力不保持の空洞化を招きかねない。安保法制は安倍政権が2015年、岸田氏も外相として強行し、他国を武力で守る集団的自衛権を容認した。台湾海峡で米中が軍事衝突した際は自衛隊が米艦などを防護し、最前線の沖縄などは戦闘に巻き込まれる可能性も高い。 

そもそも違憲の安保法制は廃止される必要がある。中国による台湾への軍事的干渉や尖閣諸島への領海侵犯は、平和を根底から脅かす覇権主義行為あり、厳しく批判されるべきだ。同時に、軍事対軍事の悪循環は絶対に避け、徹底的な外交努力で問題を打開する道こそ求められる。 

自衛隊を9条に明記する安倍改憲は「世論が盛り上がらなかった」と、世論の前に挫折せざるを得なかった。最近の総選挙向けの世論調査(NHK、10月11日放映)でも改憲重視は3%にとどまる。世論は「人の屍(しかばね)をこえた上に獲得された」(加藤陽子東大教授)日本国憲法を力に、巨大な平和への願いを擁している。岸田氏が平和に背を向け続けるならば、世論との矛盾拡大は必至だ。