2017年3月19日日曜日

駅前判決 重視された表現の自由

 「きょうの青空のような清々しい判決が出るといいですね」。3月8日朝、横浜地裁の傍聴に出かけた知人にこうメールを打ちました。
  神奈川県海老名市の駅前(写真)でポーズをとって静止する「フラッシュモブ」に、市が禁止命令を出したのは表現の自由を保障した憲法に違反するとして、市議らが命令の取り消しなどを求めた訴訟。裁判長は、市の自由通路条例を忠実に判断し、市に命令の取り消しを命じました。論拠を失った市はそのご、控訴できませんでした。

「承認」は不必要
  判決の柱は2つあります。一つは、「フラッシュモブは市の承認が必要だった」とする市の立場をきっぱり退けたことです。
  判決は、自由通路条例が承認を必要としているのは、期間1年間、及び1日12時間にわたる広報活動であることに着目。
  ▽届け出が必要な広報活動は一定の場所を相当時間占有する行為だ▽しかし、今回の表現活動は時間が一時間半程度、一カ所は数分程度▽特定のメッセージを記した服装で移動する行為と変わるところがなかった▽承認を受けるべき「広報活動」に当たらない、と認定しました。

「デモ・座り込み」にも当たらない
  判決の2つ目の柱は、今回の表現行為を「禁止行為のデモ・座り込み」とした市の見解についても、誤りだと断じたことです。
  ここでも判決は、自由通路条例で禁止されているのは多数の歩行者の安全に著しい支障を及ぼす行為であることに着目。
  ▽今回の行為は歩行者に危険が及ぶようなものではなかった▽通路も十分な広さを有している▽今回の表現行為は「デモ・座り込み」に当たらない、と明言しました。

民主社会の持続へ
  胸がすく判決です。文言こそなかったものの、憲法の表現の自由を重視する司法の見識・知恵が示されています。民主主義を草の根から持続・発展させる力になり得るものです。
  同時に、今回の表現活動は「アベ政治を許さない」を中心的に訴える取り組みでした。新しい政治、希望ある日本をめざす運動と世論が勇気づけられています。