2016年12月31日土曜日

勝利も被災地支援も

  サッカーJ1鹿島アントラーズの主将小笠原満男選手(37)。20代の選手が多いプロ・サッカー界にあっては大ベテランです。最近は試合の後半、交代を告げられることも少なくありません。

 「安定感はほめ称えられるべき」
  そのさいもベンチから、ときには立ち上がってピッチ上の同僚を激励します。この一カ月間、チームはJリーグのチャンピオンシップ、クラブW杯、天皇杯と、大試合を8回たたかう超ハードスケジュール。それらに出場し、精神的主柱となっているのです。
   天皇杯準決勝( 29日)をテレビで解説した山本昌邦氏は、「試合に出続けている安定感はほめ称えられるべきだ」と述べて同選手を高く評価しました。

社会的連帯担う人の強さ
  小笠原選手の安定感、健闘の背景にあるのは――。
  クラブ杯決勝で欧州王者レアル・マドリード(スペイン)との対決を前に、こう語っていたことは印象的でした。
   「相手が素晴らしいチームなのは間違いない。それでも僕たちは勝ちに行く」
   レアルとは年間収入で17倍の差がある鹿島。そうであってもチーム一丸で勝利を最後までめざす不屈の姿勢を堅持。それは粘り強い守備となり、得点の好機を生みました。
  併せて、東日本大震災の被災地を支援し続ける小笠原選手。現地にサッカーグランドをつくり、被災した少年をサッカー観戦に招待しています。熊本大地震の直後も被災者支援に同僚と駆けつけました。
  きっと、この間のがんばりにも、「被災地に勇気を届けたい」との気持ちが働いていることでしょう。自身はこれまでも、「元気をもらっているのはぼくら」と語っています。社会的連帯を担う人の強さ、気高さを垣間見るようです。
 明日は天皇杯の元日決勝。被災地からも「小笠原選手がんばれ」の声援が飛ぶことでしょう。(写真は雑誌『Number』より)