2023年1月31日火曜日

国史跡景観問題 海老名市長の回答文

 


 海老名市長に提出(2022年11月28日)した市民128氏の要望書「国史跡・相模国分寺史跡の景観を憂慮します――市・事業者・市民3者による協議の場を」にこのほど、市長名で回答文が送られてきました

 ■届け出を審査する立場なのに

 回答文は、市条例などの説明に終始し、市長のこれまでの「文化財の景観としては、どうかと思う」との景観発言の見地さえ触れられていない中身でした。

唯一、明解だったのは、市も加わる協議の場をとの要望書の核心に、「ご要望にお答えできない」「計画に対する説明責任は事業者にある」と述べた個所でした。これまでの3回の説明会に一度も姿を見せていない市は、こんごもそれを繰り返そうというのでしょうか。

市は今回、事業者から開発と景観という2つの届け出を受け、各課協議や審査を経て事業者と協議書を締結する立場にあります。くわえて市はまちづくり条例で「市民配慮のまちづくり」や、まちづくりを市民・事業者・市の相互理解のもと進めることを謳っています。また、今回の問題は「読売」「朝日」「東京」「神奈川」の各紙がいずれも地方版のトップで報道した通り、広く注目を集める計画にほかなりません。市に市民への「説明責任」があることは明々白々ではないでしょうか。

国史跡の真横に、しかも民家から50㌢の場所に高さ43㍍の高層建築物がそびえ建つ――今回の計画には近隣住民はもとより多くの市民が景観や住環境に不安、危惧を募らせています。このまれにみる事態に、法令が不十分なだけに、なによりも市民に寄り添い、いっしょに力を合わせて打開するとの姿勢こそ市に求められているはずです。こうした「市民配慮のまちづくり」が回答文にうかがえなかったことは、残念至極といわなければならないでしょう。

 ■アンサー?

 回答文の「ご要望にお答えできない」を巡っては、次のような一幕もありました。

答え」は誤用で、「応え」が正しいのではとの当方の指摘に、担当課は「どちらも正しい」と譲りませんでした。

そのご市長室に、①「答える」は「問題に答える」と、単に質問にこたえるときに、「応える」は「期待に応える」「応援に応える」など相手の要望等にこたえるときにと、内容によって使い分ける②これは小学5年生の国語の教科書で習うことだと指摘し、海老名市長印の押された公文書だがこのままにしますかと問いました。

翌日、市は「申し訳なかった。『お応えできない』が正しいので、差し替えたい」と謝罪。市民相談課長が要望書の連絡担当宅を訪れて回答文を回収し、その翌日、訂正した回答文を持参しました。

海老名市の公文書の作成や扱いに不安を覚えざるを得ない一件となりました。