2021年11月15日月曜日

450人が故郷に帰ることができなかった

   衆院選挙後、憲法を変えるとの発言が相次いでいます。その本丸は、憲法9条に自衛隊を書き込むことだといわれています。

憲法9条は、戦争放棄にとどまらず、戦力不保持、交戦権否認を定めています。

この九条をいま本当に変える必要があるのでしょうか。

■作家の向田邦子さんはエッセー「鹿児島感傷旅行」の中で、戦前、列車が福岡の八幡製鉄所のそばを通過するさい、陸軍の憲兵により、列車の窓が閉められたと記しています。軍部により、情報や国民が統制されていたことを示す事例の一つです。

こうした軍部が闊歩した先は戦争への道でした。アジア・太平洋戦争では310万人の日本国民と2000万人を超すアジア諸国民が犠牲になりました。

海老名の出兵数、戦死者数をご存知でしょうか。

出兵数は1350人。1940年(昭和15年)当時、海老名町の世帯数は1800世帯です。8割近い家から戦地に、「万歳、万歳」の声のもと駆りだされた。

そして450人が戦死しました。出兵した3割の方が海老名に帰ることができなかった。家庭の幸福も破壊された。戦争の本質は人の死といわなければなりません。

 ■こうした痛苦の教訓に立って憲法9条は、軍部という組織を抱えこまないことを定めました。それは戦後、海外での武力行使の歯止めとなり、戦死者を作り出さなかった。

過日、憲法9条を守る署名に応じた高校生はその思いについて、「私の将来を台無しにしてほしくない」と力を込めて話しました。その通りだと思います。


 憲法9条を守り抜く道は、命を守り、日本と世界の平和を築く大道です。