2020年1月23日木曜日

母のおにぎり


母が握ってくれたおにぎりを、ふと思い出します。
色は真っ黒。海苔がすき間なく巻かれ、磯のいい香りがしました。丸型の大きなおむすび。腹持ちを考えていたのでしょうか。

 具材で私の一番のお気に入りはシャケの筋子。当時、故郷の北海道では筋子はさほど高級品ではなく、母は粒のしっかりした薄塩の品を入れていました。食べる頃にはご飯にしみ込み、これが本当に美味しかった。
 
いまのようにコンビニがない時代です。遠足や修学旅行などのさいは家の手作りおにぎりを持参するのが常でした。大学の受験地に向かう際も、汽車の窓際で、雪景色を見つめながらおにぎりを食べたことを記憶しています。
「がんばってね」。母のぬくもりのある声が聞こえてくるようでした。