2015年12月6日日曜日

歌のある介護の職場

 Kさんは、介護の施設に週一度足を運びます。
 施設は特別養護ホームで、入所者全員が認知症です。
 Kさんの仕事は洗濯。入所者の入浴時のタオルや寝具の洗濯、たたみ、仕分けと続きます。階段を昇ったり降りたりもあり、仕事を終える夕刻には体の疲労も最高度に。
 でもKさんは心地よさも覚えるといいます。「少しは役立っているのかな」と思えるほか、入所者を直接介護する職員の努力に接するからです。
 
 職員は入所者への優しい声かけを怠りません。食事を入所者の口に運ぶさいは「少しずつでいいんですよ」。入浴後は「きれいになりましたね」。入所者と歌を歌いながら廊下を歩く姿も見受けられます。通底しているのは人間の尊厳を重んじる姿勢です。
 
 同施設も最適の労働環境とは言い難いものがあります。早朝勤務の開始時間は7時。いまの季節であれば職員は夜明けの街を白い息を弾ませながらやってきます。夜勤(22時~翌8時)も月に平均4回あります。
 
 Kさんと職員の尽力、献身に頭が下がるとともに、「歌のある介護の職場って、いいなぁ」と思いました。(写真=朝の青空)