2023年4月27日木曜日

希望を語った大江健三郎さん



■自己紹介は「九条の会の大江です」

3月3日に亡くなったノーベル賞作家の大江健三郎さん(享年88歳)は、九条の会の呼びかけ人です。会発足十周年の講演会(2014年)では「九条の会の大江です」が「得心できる」と自己紹介。改憲世論を逆転させた草の根運動への確信にあふれていました。

広島、長崎、沖縄に

05年の東京講演会では1万人を前に、「広島、長崎、沖縄で人間として決して受忍できない苦しみをこうむったことを、私たちは記憶し語り続ける」。被爆地や沖縄にたびたび足を運び、人間と憲法の視座から、英知に満ちた言葉を発し続けました。

平和主義は憲法の核心

憲法九条の戦争放棄・戦力不保持については、「憲法の一番よい核心」(12年)と高く評価。安倍晋三元首相の集団的自衛権容認の企てに対しては「アメリカ軍への奉仕として押し通そうとしている。恐ろしい」(14)と、危険な対米追従性を厳しく批判しました。

国に変化はありうる

大江さんは国の「変化」をあきらめずに追求し続ける知識人でした。05年の講演会ではアメリカの詩人の詩から「求めるなら変化はくる、決して君の知らなかった仕方で」を紹介。自分が地上からいなくなっても若い人らが担い続けるならば、「この国に変化がありうる」と九条の会などの草の根運動に希望を語りました。