2020年6月24日水曜日

豆腐屋の人情


隣町に出かけたさい、豆腐屋の前を通った。以前からある個人の店だが、入ったことはなかった。野菜なども売っていたはずだが、いまは豆腐づくりに絞っているようで、店内は少しガランとしていた。
店主らしい年輩の女性がいた。木綿豆腐は一丁170円という。少額で申し訳ないなと思いつつ注文した。
ほどなくして、「少し小さく切ったので、150円でいいですよ」との声。続いて、「これ、どうぞ食べてみてください」と油揚げも差し出された。
豆腐はさほど小さくは見えなかったし、油揚げも商品の一つだった。気前のよさや人情にうれしくなり、帰途の足取りは軽かった。
夕食時、おろし生姜とネギを添えた冷ややっこを食卓に並べた。作りたての新鮮さと手作りの素朴さをそなえていた。