2015年9月5日土曜日

時代遅れの戦争法案

米軍が日本を守っている?
 安倍晋三首相は4日、読売テレビの番組で戦争法案にふれて、「(米軍が)日本を守っているのに、日本は何もしないとなれば日米同盟は終わる」と発言しました。
 あたかも米軍が日本や平和の守り手であって、日本はこれまで傍観者でもあったかのように描かれていますが、これほど手前勝手な議論はありません。
 
米国の戦争の忠実な協力者
 だいたい米国は戦争と武力行使連続の歴史をもつ、「世界で一番危険な国」(藤井正希・群馬大学准教授)です。そして日本政府も日米安保条約=日米軍事同盟のもとで、絶えず米国の戦争の忠実な協力者として危険極まりない役割を果たしてきた張本人ではありませんか。 
 まず米国のベトナム戦争(1950年代から75年)。のちに米政府高官も証言した通り、米国のでっちあげによる侵略戦争でした。在日米軍基地は米軍の爆撃機が沖縄から飛び立つなど、その最前線基地として使用され、沖縄はベトナムの人民から「悪魔の島」と呼ばれました。
 2003年に米英軍が開始したイラク戦争も、大量破壊兵器の保有という虚偽情報にもとづく侵略戦争でした。10万人以上という罪のない市民が犠牲になるとともに、テロ組織がばっこする大きな要因になりました。世界でいち早く戦争支持を表明し、自衛隊をイラクに派兵した日本にも当然、相応の責任があります。しかし日本政府はいまなお自らの過ちを検証していません。
 同時に、この間の戦争をめぐる問題には特別重要な教訓があります。ベトナム戦争のさい日本の協力が在日米軍基地の使用にとどまったのも、イラク戦争のさい自衛隊を派兵したものの「非戦闘地域」での支援にとどまったのも、憲法9条の歯止めがあったからです。
 
実る外交による成果
 安倍首相にとってこの9条の輝く値打ちは、「日本は何もしない」と勝手に描き出しているように、打ち消したい対象にほかなりません。戦争法案の柱に、武力で米国を守る集団的自衛権の行使を持ち込んでいることはその端的な例です。
 しかしそれは戦争路線であり、国際社会の動向に照らすならば、「時代遅れの議論」(寺島実郎氏)そのものです。
 今日の世界はNATO(北大西洋条約機構)のような軍事同盟でさえ、国際的テロ組織ISへの対応にも示される通り、それぞれの国が主体的に考えて判断し、行動することが流れになっています。また、イランの核開発問題の解決に向けた同国と欧米などとの最終合意や、米国とキューバの国交正常化など、外交による成果も実っています。 
 安倍首相が成立を急ぐ戦争法案に未来がないことは明白です。いよいよ撤回か廃案しかありません。(写真=地域の戦争法案反対集会)