2015年2月16日月曜日

これまでは「切れ目」があった

「切れ目のない」という言葉を安倍晋三内閣からよく聞きます。先の施政方針演説(2月12日)でも「切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備」との訴えがありました。国民の安全に責任を持っているかのような言い方です。
  しかし、この文言の意味こそ今回の演説で触れられなかった集団的自衛権を行使することにほかなりません。

「切れ目」を認めていた歴代の政権
これまで自衛隊の活動範囲には「非戦闘地域」という限定がありました。憲法9条が戦争や武力行使を禁じていることから、他国の戦闘との一体化は違憲とされてきたからです。
1993年にPKO法を成立させ、ペルシャ湾の機雷除去のために自衛隊を初めて海外派遣した宮澤喜一政権。同法に「非戦闘地域」にしか自衛隊を派遣することはできないとの縛りをかけていました。そのごブッシュ米政権の「テロとの戦争」に協力しようと、陸上自衛隊のイラク派遣に踏み切った小泉純一郎政権は2003年の国会で、「自衛隊の行くところが、非戦闘地域なのです」と言わざるを得ませんでした。「自衛隊の活動を戦闘行為と切り離す『切れ目』を明確にした」(小森陽一・「9条の会」事務局長、岩波ブックレット『憲法九条は私たちの安全保障です』)ことは明らかでしょう。
それゆえ2008年の名古屋高裁での判決は、イラクでの航空自衛隊の米兵輸送などについて戦闘行為に結びつく活動であり、憲法9条違反との判断を下しました。

集団的自衛権のリスクを語ろうとしない首相
 ところが安倍内閣は昨年7月の閣議決定で「非戦闘地域」という概念を撤廃。自衛隊の活動範囲を「『現に戦闘が行われている現場』以外」に拡大しました。これには当然、自衛隊の活動中に戦闘が始まる可能性のある地域も含まれます。他国の戦闘との一体化に道を開く集団的自衛権の行使容認に踏み出したのです。これこそ「切れ目のない対応」の実相というものでしょう。
集団的自衛権の行使容認は明白にリスクをともないます。戦闘に巻き込まれ、テロの標的になる危険が一段と増すからです。しかし安倍首相はこのリスクを国民にいっさい語ろうとしていません。同路線の矛盾でもあります。

国会論議「時間をかけるべき」
 世論は安倍政権の集団的自衛権行使に批判の目を向けています。同関連法案の国会提出について「時間をかけるべき」は54.9%、「法整備は必要ない」が15.6%で、合計すると70.5%に上ります(共同通信社の2月6、7両日の世論調査)。これらは「切れ目」を求めるエネルギーといっても過言ではないでしょう。連帯して、「海外で戦争ができる国」づくりの危険性をより明らかにし、ストップをかけたいと思います。