2015年5月30日土曜日

問われる機雷掃海 陸上出荷の権益を取得した日本企業

 「どうしても機雷と言って駄々をこね」。安倍晋三首相の執着ぶりが朝日川柳(5月29日付)でも指摘された中東・ホルムズ海峡での機雷掃海。石油輸入に「死活的」と称しつつ、安保法案(戦争法案)の国会審議で押し出されています。他国を武力で守る集団的自衛権行使の事例として、本当に必要なのでしょうか。

エネルギーセキュリティに大きな効果
 中東のアラブ首長国連邦は、日本の原油輸入量でサウジアラビアに次いで二番目に多い国です。同国はホルムズ海峡を経ずに、原油をインド洋に面したフジャイラに送る陸上パイプラインを「国家戦略」として2012年から稼働させています。
 そしてこの1月、日本の国際石油開発帝石(株)は、同国の世界でも有数の巨大油田群からの石油を陸上パイプラインでフジャイラに出荷する権益を40年間の契約期間で取得。「我が国のエネルギーセキュリティ上の大きな効果が得られるもの」と、同社はその安定供給の国家的意義を誇っています。
 機雷掃海の必要性は現場に照らして厳しく問われているのです。

憲法9条と外交交渉で安全航行
 そもそも安全航行は憲法9条や外交交渉に徹することで確保できる課題です。
 タンカーでペルシャ湾から石油を日本に運んでいた外航船の元航海士、本望隆司さん(73)。1980年代のイラン・イラク戦争時、日本政府が海外で武力を行使しないとの憲法9条の立場でイランなどと交渉してタンカーを通してもらうことで、石油は途絶えなかったといいます(「東京」5月27日付)。

 集団的自衛権ありきで、機雷掃海を持ち出した戦争法案。その危険性や必要性が広く問われるなかで、「キライ」の声はいっそう広がらざるを得ないでしょう。