55歳の誕生日を迎えた皇太子。記者会見で、ことしが戦後70年になることにふれて平和の文言を少なくとも4回あげ、その大切さを指摘しました。安倍晋三首相の常套句である「積極的平和主義」はどこにも見当たりませんでした。
そもそも積極的平和主義は、集団的自衛権を含むことを安倍首相が認めている通り、平和と相反する文言です。日本が攻撃を受けていないのに、他国の戦争に参戦するのが集団的自衛権であり、その危険性は計り知れません。
1月に急逝した憲法学者の奥平康弘さん(東京大学名誉教授)も積極的平和主義を厳しく批判していました。「『戦争と平和』というのは対になった言葉であって、『平和』に形容詞はいらんのです」「平和主義ではないことを語っているんです」(『憲法九条は私たちの安全保障です。』)
皇太子は会見で、日本が戦後、日本国憲法を基礎に平和と繁栄を築き上げてきたと、憲法の積極的意義を指摘しました。沖縄慰霊の日や広島・長崎への原爆投下の日などにふれて、謙虚に過去を振り返り、悲惨な体験が正しく伝えられていくことの大切さも強調しています。真っ当な発言に共感を覚えたのは私一人だけではなかったと思います。(写真=自宅近くで、満開になり始めた白梅、2月26日)