2025年3月27日木曜日

父親との引っ越し作業


  春のこの時期、昔のことをよく思い出す。

1973327日。北海道旭川の4畳一間の下宿先で、父親といっしょに引っ越し作業を行っていた。父親は当時、苫小牧に住んでいた。旭川までは鉄道で片道3時間ほどかかったはずだ。

荷物の送り先は私の就職先である神奈川の小都市。私の心には旅立ちを前に沸き立つものがあったと思う。

父親は普段から寡黙だった。このときも黙々と、布団は小豆色の布団袋に、本は木造りのリンゴ箱にと詰めてくれた。本の中には大学一年のときの隣室からの火事で表紙等が焦げた漢和辞典=写真=もあった。

当時、父親は40代半ばで、郵便局に勤めていた。管理職でもなく、薄給だったと思うが、仕送りが滞るようなことはなかった。私は奨学金をもらっていたが、本もたくさん購入できた。

あれから半世紀余。来月14日は父親の8回忌だ。