■自己紹介は「九条の会の大江です」
3月3日に亡くなったノーベル賞作家の大江健三郎さん(享年88歳)は、九条の会の呼びかけ人です。会発足十周年の講演会(2014年)では「九条の会の大江です」が「得心できる」と自己紹介。改憲世論を逆転させた草の根運動への確信にあふれていました。
■広島、長崎、沖縄に
05年の東京講演会では1万人を前に、「広島、長崎、沖縄で人間として決して受忍できない苦しみをこうむったことを、私たちは記憶し語り続ける」。被爆地や沖縄にたびたび足を運び、人間と憲法の視座から、英知に満ちた言葉を発し続けました。
■平和主義は憲法の核心
憲法九条の戦争放棄・戦力不保持については、「憲法の一番よい核心」(12年)と高く評価。安倍晋三元首相の集団的自衛権容認の企てに対しては「アメリカ軍への奉仕として押し通そうとしている。恐ろしい」(14年)と、危険な対米追従性を厳しく批判しました。
■国に変化はありうる
大江さんは国の「変化」をあきらめずに追求し続ける知識人でした。05年の講演会ではアメリカの詩人の詩から「求めるなら変化はくる、決して君の知らなかった仕方で」を紹介。自分が地上からいなくなっても若い人らが担い続けるならば、「この国に変化がありうる」と九条の会などの草の根運動に希望を語りました。