2020年5月10日日曜日

図書館人の理性・使命


 神奈川県海老名市の市立図書館(ツタヤ図書館)が8月31日まで休館中です。
 コロナウイルスの感染防止策として、すべての来館サービスを中止する完全休館を、4月17日から4カ月以上続けるといいます。

 5月7日、市教育委員会に電話をかけると、「3密を避けるため。県の方針にもとづいている」。次の諸点を指摘せざるを得ませんでした。
 〇「3密」というが、図書館は通常おしゃべりをするような場所ではありません。神奈川県立図書館の休館は5月31日(5月6日更新)まで。休館中も予約本の「宅配サービス」やレファレンス業務(相談への回答)を行っています。市の説明通りならば、県立図書館は県の方針に従っていないことになるのでは。
 〇近隣の市立図書館の休館状況をみると、厚木市は5月31日、座間市は6月1日、大和市は6月30日まで。海老名市の「8月末まで休館」は突出していませんか。
 〇安倍首相は今月4日の記者会見で、すべての都道府で図書館の再開を認めると述べました。海老名市の措置は国以上では。その根拠は。
 〇市立図書館は市民の貴重な知の拠点です。感染防止策が取られることを前提に、休館期間を再検討し、「宅配サービス」など可能な業務も考慮すべきではありませんか。

 担当者は、「市民サービスは考えないといけないとは思う。お話の趣旨はわかりました」と語りました。

やりとりのあと、長野県立図書館のとりくみを知りました。同図書館は休館が5月15日までですが、その間も自宅で居ながらにして同図書館の本を、送料実費で「お取り寄せ貸出」しているといいます。ホームページには、「コロナ対策中でも県立長野図書館は動きつづけています」「みなさんの『知る権利』『学ぶ権利』への支障を最小限にしようと努力をつづけています」と記されていました。
 ウイルス禍の中にあっても、市民が知識を得られ続けるための取り組みを探究する同図書館。図書館人としての理性や使命感が伺えるのではないでしょうか。