2025年12月26日金曜日

戦争はグロテスクだ 

     

 アニメーション「ペリリュー  楽園のゲルニカ」を観に行きました。予想した以上の人が詰めかけ、若い人も少なくありません。私の前の席には大量のポップコーンを手にした母親と中学生が着席。この反響は主役の声が若手人気俳優だから、試写会に愛子さんが参加した話題の作品だから等々考えるうちに、上映が始まりました。

映画は第二次世界大戦の日米戦で、1万人の日本軍が最後まで残ったのは34人たらずだったというパラオ諸島ペリリューでの激戦を描写。ほのぼのとした人物像とは不釣り合いな、傷病兵が仲間の兵士から殺される場面など狂気やむごたらしさを痛烈に伝えます。

 生き残った主人公が戦友の遺骨を抱えて実家にたどり着くという、希望も感じさせつつ終わりましたが、いっしょに観に行った孫の感想は、「ぐろい映画だった」。戦争はグロテスクそのものであり、平和の尊さはとの思いをいやがおうにも抱かせる内容だったのでしょう。

 いま、軍事費が増強され、「台湾有事」や「核保有」の発言が相次ぐなど、新たな「戦前」とも思えるような政治状況が社会を覆っています。戦争を経験していない政治家たちはミリタリーゲームを行うかのようなノリの感覚で、戦争をあおっていないか。

「ペリリユー」は、今回足を運んだ人々が戦争を正面から考え、好戦的な政治状況にも対峙しうる作品となったことは間違いないでしょう。