平和の夏を迎えています。おぞましいのは、政府と自民党が「敵基地攻撃能力」について議論を始めたことです。北朝鮮などのミサイル発射拠点を直接破壊できる能力を保有すると称していますが、国際法に違反する先制攻撃になりかねない危険な企てです。「専守防衛」を踏みにじる憲法違反でもあります。
従って同党内からさえ、「映画か漫画のような話をすべきでない。(北朝鮮などがミサイルを撃つ)蓋然性は極めて低い」(岩屋毅・元防衛相、「朝日」7月28日付)と、その“非現実性”が指摘される始末です。
いま、米中二大大国の対立が激しくなっています。戦争を永久に放棄した憲法9条をもつ日本は、武力の行使ではなく、外交や国際的な連帯で世界平和を目指すことこそ求められているはずです。
この点で、東京大空襲で家族が犠牲となったエッセイストの海老名香葉子さんが、雑誌『食べもの通信』8月号で紹介する市民レベルの平和友好のとりくみは印象的です。
15年にわたり平和の集い(昨年は1500人が参加)を主宰する海老名さん。数年前、朝鮮学校の生徒から「仲間に入れてもらえませんか」と言われました。反対する声もありましたが、「庶民みんなが苦しい思いをするのが戦争。どこの国の人たちとも手に握りたいの」と快諾。9人が民族衣装のチョゴリを着て参加し、そのご90人にまで輪が広がっています。
心強いとりくみではないでしょうか。国際連帯の立場にたつ平和のエネルギーは、脈々と生命力を発揮せずにはおかないことを痛感します。