2020年6月22日月曜日

読み聞かせをしたい絵本


気持ちの優しい子どもでした。
寒い日、震えているように見えた金魚に、「かわいそう」と、やかんのお湯を。逆さまに浮いてきた金魚に、死んじゃったのかしらと涙を流しますが、家族からは叱られませんでした。

家族には深い愛情がありました。
夜中、「母ちゃん」と小さな声で言うと、母親は寒い時でも、飛び起きて「はばかり」の前で用を足すまで待っていてくれました。
そんなかよちゃんと家族の穏やかな毎日を、根こそぎ奪っていったのが戦争でした。

エッセイストの海老名香葉子さんから、最近出版した絵本『えくぼのかよちゃん』(金の星社)をいただきました。子どものころの天真爛漫なエピソードや家族のぬくもりのある情景が満載です。絵を担当した林家しん平さんは、亡き夫・林家三平さん(初代)の内弟子。親しみやすい絵柄に大人も引き込まれます。

東京大空襲で家族6人を亡くし、戦争孤児となった海老名さん。筆舌し難い困難を抱えますが、前を向いて生きてきました。支えているのは、父と母の「どんどんまっすぐ歩いていってね」との励ましです。
子どもに豊かな情操と平和な社会をとの願いがたっぷり込められた絵本。「戦争のないくらしをつづけていけるように、平和な今日を守りつづけましょう」(あとがき)
私の孫にも、もう少し大きくなったら読み聞かせをしてあげようと思いました。