「授業料」の言葉がなくなる高校を
定時制高校4年生の訴えがずっと心に引っ掛かっています。あしなが育英会などの主催で開かれた子どもの貧困を問う市民集会(2013年5月18日、都内)でした。
「小中学校に授業料という言葉がないように、早く高校にも授業料という言葉がなくなり、教科書代という言葉も実習費という言葉もなくなることを望みます」
お金を心配することなく学校に通いたい。教育を受けることを私たちの権利にしてほしい――切実な願いは胸を打ちました。
願いが生まれる背景には貧困問題があります。あしなが育英会の奨学金を借りる母子家庭の母親の年収は、1998年の200万円余から、2013年には113万円にまで減少。働く母親の多くは賃金の低い非正規雇用です。労働者派遣法など労働法制を改悪し、非正規雇用を広げた歴代自民党政権の責任は極めて重大です。
生活保護費の削減額は戦闘機2機分
15年度予算案ではこのうえ、国民生活の最後のセーフティーネット・生活保護費がすでに強行している生活扶助に続き、家賃にあたる住宅扶助と、寒冷地の人びとにとって命綱の冬季加算まで削られ、合計で14年度より323億円減ります。暮らしの破壊が子どもの教育費をも直撃することは目に見えています。
一方、軍事費は過去最高の約5兆円に膨張。第二次安倍政権発足後、3年連続の増加となります。内訳も新型戦闘機F35の6機1032億円、兵士を運ぶオスプレイの5機516億円、水陸両用車の30両203億円など、海外侵攻能力を高める兵器を相次いで導入。F35の2機分の予算があれば、生活保護費は削減しなくても済みます。
安倍政治ノーの声を草の根に
日本も加盟するOECD(経済協力開発機構)は昨年12月、報告書「所得格差と経済成長」で、貧しくて質の高い教育を受けられない人びとは知識や技能を身につけられないため、貧困は成長の足かせになると指摘しています。
この点でも集団的自衛権の行使容認下、「戦争ができる国」づくりを具体化し、暮らしと子どもの未来を壊す15年度予算案は「亡国予算」そのものです。
安倍政治ノーの声を一段と草の根に広げ、新しい希望ある日本をめざしたいと強く思います。(写真は神奈川県茅ヶ崎市の海岸から見た富士山)